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液タブ一体型PC「Wacom MobileStudio Pro」と「VAIO Z」を徹底比較

Created: 2017/4/16 (日) PM 10:53
Last updated: 2017/4/16 (日) PM 10:53
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PCペンタブレット

PCによるイラスト制作(いわゆるデジ絵)を外出先で行うといえば、グラフィックス性能の低いノートPCに、小型のペンタブレット(いわゆる板タブ)を組み合わせて使うというケースが多いのではないだろうか?

どちらも厚みがなく置き場所には困りにくいノートPCとペンタブレットであるが、持ち運ぶとなると話は別で、高性能なノートPCや大型のペンタブレットはかさばりやすく、鞄に入れるのがめんどうだったり、見かけ以上の重量で持ち運ぶのが大変だったりと、「気軽に出先で使う」という用途には適していない。

そのため、出先ではスペックの低い小型のノートPCと、窮屈な小型のペンタブレットでのイラスト制作を余儀なくされることが多いわけであるが、低性能なノートPCはレイヤーを多数使用する厚塗りなどの際には動作の緩慢さがストレスの原因になり、また、小さくて発色の悪い画面では作業効率も上がらず、これにサイズの不十分なペンタブレットが加わるため、お世辞にも「快適」とは言い難い作業環境になってしまう。


しかし、ここ数年、その状況は大きく変化し始めた。
「液晶ペンタブレット一体型PC」の登場である。

液晶ペンタブレット一体型PCは、その名の通り、液晶ペンタブレットにノートPCのハードウェアを統合したものであり、コンパクトなボディに、筆圧感知対応のデジタイザ(ペンタブレット機能)と、正確な色合いの液晶画面、イラスト制作に適したグラフィックス処理性能を持ち合わせている。

このような液晶ペンタブレット一体型PCは、外出先での快適な作業環境となるだけでなく、自宅で使用するメインの作業環境としても十分機能しうるものが多い。


ここでは、みなさんの用途・予算に応じた作業環境選びの手助けになるよう、アフターサポートの麺からも安心できる国内メーカー製の高品質な液晶ペンタブレット一体型PCである「Wacom Mobile Studio Pro」と「VAIO Z」の長所と短所を比較するとともに、購入時のポイントについても解説したいと思う。

Wacom Mobile Studio Pro

Wacom Mobile Studio Pro

ペンタブレットの業界最大手である国内メーカーのワコムから発売されている液晶ペンタブレット一体型PC。解像度2560×1440の13インチモデルと、4K解像度の16インチモデルが存在し、それぞれの重量は、約1.4kgと約2.2kg。

ちなみに、筆者もこの製品を愛用している。(上の写真は筆者の所有しているMobile Studio Pro)

CPUはIntel core i5とcore i7のどちらか(モデルによって異なる)であるが、いずれの場合でも他の一般的なノートPCやデスクトップPCに採用されているcore i5やcore i7に付属するものよりも高性能なIris Graphics 550を搭載し、負荷の大きい画像処理ソフトも快適に動作する。

プロのクリエイター向けという位置づけであるため、付属のペンは約8000段階の筆圧感知に対応するほか、ディスプレイは発色の正確さを示す指標として重要な「AdobeRGB」カバー率96%を誇る。

バッテリー駆動時間は最大6時間と短めではあるが、別売りオプションの「Wacom Link」を使用して他のPCに接続すると外付け液晶ペンタブレットとして使用できるという他社製品にはない特徴を備えている。


なお、この製品のUSBコネクタは新規格のtype-Cのみしかついておらず、従来のUSBキーボードや外付けHDDを接続するには、USB type-C - type-A変換アダプター(2000円程度で購入可能)が必要となる点には注意が必要である。

長所

  • 8000段階以上の筆圧を検知可能なペン
  • 他のPCの外付け液晶ペンタブレットとして利用可能(別売りオプション使用時)
  • 4K解像度のディスプレイ(16インチモデルのみ)
  • AdobeRGBカバー率96%

短所

  • バッテリー持続時間が比較的短い(6時間)
  • USBコネクタがtype-Cのみしかない
  • キーボードは別売り(ただし、Bluetoothキーボードは他社製も使用可能)

購入時のポイント

16インチモデルはかさばりやすいため、外出先で使う前提で購入する場合は13インチモデルをおすすめする。

13インチモデルは3種類(メーカー直販サイトのワコムストアではここに廉価版1機種が加わって4種類)の機種があるが、筆者がおすすめするのは、この3種類の中でCPUがcore i5の機種だ。

CPUの性能については、このcore i5モデルと、上位のcore i7モデルの性能差は小さいため、上位モデルを選んだとしても体感できるほどの性能差があるとは考えにくい。
加えて、上位モデルは、内蔵SSDの容量が大きくなるなどの利点はあるものの、この点は別途SDカードや外付けHDDを購入することで十分補えるため、価格差を考慮すると上位モデルを選ぶメリットは薄いだろう。

なお、直販サイトの廉価モデルは、メモリが4GBと少ないのでおすすめしない。


また、ここで気になるのが「どのショップで購入するのがよいか」ということであるが、これについては、筆者もよく利用している「TSUKUMO」をおすすめしたい。

一般にはあまり知られていないTSUKUMOであるが、PCの自作などを行うようないわゆる「PC上級者」には名のしれたショップである。
そして、このショップの特筆すべき点として、製品価格の5%程度の価格で5年間の延長保証を追加できることが挙げられる。

Wacom Mobile Studio Proにはメーカー標準保証が1年しかないが、このような高性能な製品を、故障したからと言って2年や3年で買い替えるのはもったいないだろう。
特に、こういった電子機器は、購入から3年以上経った後で突然不具合が出ることも珍しくないため、5年保証はありがたい。

VAIO Z (フリップモデル)

SONYから分社されたVAIOより発売されている液晶ペンタブレット一体型PC。重量は約1.4kg。
上記のWacom Mobile Studio Proの13インチモデルと同じく、2560×1440の液晶ディスプレイを備え、このディスプレイはsRGB(AdobeRGBよりはやや緩い規格)カバー率100%を達成している。

加えて、クリエイターを意識した仕様の製品であるため、上記のWacom Mobile Studio Proと同様、Iris Graphics 550搭載のcore i5またはcore i7を採用し、高負荷なイラスト制作でも高速に動作できるように設計されている。

また、バッテリー持続時間が最大19時間であるため、充電設備のない列車での移動時などでも安心して使うことができ、キーボード一体型でもあるため、別途キーボードを持ち歩く必要がなくビジネスシーンでの使用にも適している。


ただし、イラスト制作のみに特化したWacom Mobile Studio Proとは異なり、付属ペンは電源として別途乾電池を必要とし、筆圧検知能力も約1000段階しかない。
通常のイラスト制作において1000段階の筆圧検知で足らないことはまずないと考えられるので、この点については特に気にする必要はないと考えられるが、ペン用に予備の乾電池を持ち歩く必要が生じることは覚えておきたい。

長所

  • 最大19時間持続可能なバッテリー
  • sRGBカバー率100%
  • キーボード一体型

短所

  • ペンには乾電池を入れる必要がある

購入時のポイント

この製品は、大手家電量販店で安価に販売されていることはほとんどないため、メーカー直販サイトであるソニーストアで購入することになる場合が多いだろう。

ソニーストアで購入する場合、メーカー標準保証が3年間に延長されるといったメリットがあり、また、個々の部品(CPU,メモリなど)についてそのスペックを詳細に選んで購入することができる。


しかし、PCにあまり詳しくない方とっては、このように選択肢が多いと、むしろどれを選んでよいかわからずに戸惑うことになってしまうのではないだろうか。

これについては、筆者が以前解説したイラスト制作前提のノートPC選びの記事が参考になると思うので、これを参照しつつ、予算を踏まえて各部品のスペックを決定していただきたい。


なお、「クラムシェルモデル」は筆圧感知ペンに対応していないので、購入する際は「ペンタブレット一体型PC」の要件を満たす「フリップモデル」を選ぶ必要があることには注意しなければならない。


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